喜多川泰「福に憑かれた男」「賢者の書」 [本]

喜多川泰氏の本は既に5冊も読んでいて、どの本も良いのですが、二冊の本にちょっと不満があります。
「福に憑かれた男」に関しては内容は教訓に満ちていて素晴らしいのですが、最初のほうで知恵の老人が主人公に助言する個所が不満なのです。
老人は書店経営者の主人公に店に来たお客に話しかけようと助言するのです。
私個人としては、図書館や書店は一人静かに本を探すところ、なので、店主や館員さんにあれこれお勧めの本とか、あなたは何をする人ですか、なんて聞かれたら、早々に逃げてしまいます。
それ以外は教訓に満ちていて面白く楽しめるのですが、残念な個所でした。
 喜多川氏の最初の本「賢者の書」を読んでいて、第七の賢者に会ったところまで読みました。
実はこの本にもちょっと不平不満があります。
主人公サイードは、父親の転勤で、14歳から3年間ドイツに暮らしたという設定です。
ところが孤立していたというのです。
ドイツの小さな町で、よそ者はいれないという雰囲気の中で孤立していた、というのですが、
いやいや、ドイツ人て案外親切でよそ者を3年間も入れないで孤立させるなんてことはないよ、と
言いたいのです。
実際に息子を連れてアメリカの小学校に入れた時、担任の先生はドイツ系の女性で、すぐに息子の隣の席に親切な子を配置して、トイレやら休み時間、給食の時間など手を取って案内してくれたので、息子はすぐに楽しくクラスになじめました。
その他、私がドイツに旅行をしたときとか、ドイツの映画や本を見てもドイツ人はいかついようで素朴な親切に満ちています。
 なので、主人公がドイツで孤立していた排他的にされたというのは、違和感があります。
もし、それが日本なら、ありえるかもしれません。
日本は排他的な慣習があります。
東日本大震災で福島から神奈川に避難してきた女子中学生が、教室で孤立して一人で涙を流していたという話も聞いたことがあります。
彼女自身が溶け込めなかったという理由もあったかもしれませんが、日本人は欧米の社交性とは違う排他性があるので、3年間孤立していたということもありそうな話です。
なので、喜多川氏が小説の設定を日本にすれば違和感がなかったかなと思える話でした。
そのほかの内容は素晴らしいのですが(^^)


賢者の書


「福」に憑かれた男 (サンマーク文庫)


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