春宵十話(岡潔) [本]

秋なのに春宵とは?
数学者のエッセイなんて、と食わず嫌いだったのが、保江邦夫氏も井口和基氏も良いと推薦してられるので取り寄せて読んでみました。絵画、詩歌、文学にも造詣が深く面白い。少々独断と偏見の部分もあり、時代的にも古い部分もあるのですがユニーク。天才の作り方がわかるような。
中学3年のころに数学以外の教科は丸暗記する方法を覚えた。
教科書をぼーっと見てないで目力を入れて暗記する、
むりやり詰め込んで覚えた結果、試験が終わった途端に食べたものを全部吐いたこともあるそうで、
無理無理覚えたのは忘れてしまうそうです(^^)
だから彼曰く、勉強のできない人の顔にはしまりがないという。
だから目力を入れ過ぎた晩年の彼の顔には皴が多いのかも?
数学に関しては子供の頃から家の前のタタキで3時間も座り込んで数式を計算していたとか。
 奇人変人ぶりが面白いのは、普段は寝てばかりいたという話で物理学者の保江氏によれば
寝てばかりいることが良い、目が覚めると数式がぱっと浮かんだりするらしい。
保江氏もドイツのアウトバーンを高速で走っていた時に、周囲も彼も時が止まって彼の脳裏に
数式が浮かんだそう。ホテルに帰ってメモに書き留めた数式がシュレジンジャー方程式のヤスエ式と
なり世界に認められたそうです。
 だから岡潔氏の寝てばかりに共感するのでしょうね。
ユニークなのは岡潔氏は大学を出てから2年間、睡眠薬にはまって非常勤講師の仕事は機械的に行くだけで、その他の時間は寝てばかりだったとか。今の世の中ではマズイ、やばい話ですが。
有名なエピソードでは奈良女子大の教師だった時に態度の悪い女子大生に「裸で立ってろ」というと
本当に女子学生が裸で立って、それ以来いたたまれなくて講義を休んで家で寐てばかりいたとか。
パワハラ、セクハラと
今ならテレビで大騒ぎで首になって当然の話ですが、首にはならなかった、気の毒に思った湯川秀樹が京都大学に招へいして講師として2年間勤めたそうです。
数学者としては天才ですが実に奇人変人だったのですね。


春宵十話 (光文社文庫)


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